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「残業しない」という選択

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『通販生活』は100万を超える発行部数を誇っている通販雑誌。この雑誌を発行しているカタログハウスの商品開発プロデューサー吉川美樹さんは、新商品開発で6年連続売上トップという業績をあげている。

彼女の仕事のやり方は特徴がある。それは「残業は一切しない」というもの。何があっても、5時半にさっさと会社を飛び出し、帰宅してしまうという。

入社して3年間は、彼女も普通の「やり手」サラリーマンと同様、深夜残業も厭わず、バリバリ働いて終電にとび乗るという生活をしていたそうだ。

そんな生活を一変させたのは出産と子育て。子供ができてからは、定時の5時半までに仕事を終え、さっさと帰ることにしたという。

深夜まで働いていた頃と比べれば、労働時間は半分になってしまう。単純に考えれば、仕事の成果も半分に減ってしまうことになる。ところが、結果はまったく反対だった。

「残業なし」で退社し、その後は主婦として子育てに追われながら生活している現在の方が、ずっと成績がいいというのだ。

「なぜだろう?」吉川さん自身も不思議で、いろいろ考えた。

 そして、得た結論――それは、簡単に言えば、「残業なし」を断行したことで、生活を「実体験」する時間や空間が拡大したからだというもの。

生活上の「不満」や「不便」、「悩み」、これがヒット商品を生み出す原動力。
「残業しない」で帰ることにしたことが、生活者として、その「不満」や「悩み」を実際に体験する機会を拡大させる結果になったのだという。

その体験が、吉川さんの中に、世の中に「訴えたいこと」を増やしていった。それが「新商品の開発」となって結実したというわけだ。

(写真と文中記事は関係ありません)

立教大学 山口義行 教授 Small Sunニュースより抜粋
 

2013.02.08:[スタッフ (KAI)]